概要
国内2大ヘルメットメーカーである ARAI と SHOEI はどちらが安全なのか。
バイクに乗る人なら興味ある話だと思いますが、どうもヘルメット業界というのは閉鎖的で、ネットに新しい情報が流れにくく消費者が十分な知識をもって購入できていないように感じます。
調べていくとSNELL 規格の安全性を否定・疑問視する記事も多数見つかりました。
一般的な見解
以下のような意見・考え方が多いように見受けられました。
- ARAI はSNELL 規格に適合しているので SHOEI より安全
- SNELL 規格に適合していないヘルメットは安全性に問題がある
- 海外メーカーよりも日本メーカーの方が安全
SNELL 規格は安全ではない?
一方で SNELL 規格の安全性に疑問視する記事があります。最初に見つけたのは Yahoo!知恵袋でした。 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10106753840
要約すると
- SNELL 規格は実は側方からの衝撃テストをしていない
- SHARP 規格という32通りの角度から衝撃テストを行うと欧州の規格がある
- SHARP 規格では ARAI のヘルメットは安全性評価が低い
- SHARP 規格でたくさんあるヘルメットの安全性を総合的に比較すると日本より海外メーカーの方が安全性評価が高い
SHARP 規格について
SHARP 規格の Web サイトはこちらです。
海外版なので日本で販売されているヘルメットの型番とは異なりますが、ARAI と SHOEI のものも多数登録されています。
http://sharp.direct.gov.uk/testhelmetlist?sharp-make=99&sharp-model=&sharp-type=All&sharp-rating=1&sharp-price-from=0&sharp-price-to=9999&discontinued=1
直接聞いてみた
最後に ARAI と SHOEI に対してメールで聞いてみました。
SHOEI
質問
御社のセーフティコンセプトについて質問です。 『SHOEIでは、世界の安全規格すべてに対応する試験設備を設けて各基準に適合する製品開発』と記述されているのですが、SHARP規格に対応したテストは行われていますか? 具体的には頭頂部だけでなく、前方部(額)・左右の側方部・後頭部の衝撃テストも行われているかどうかです。
回答
イギリスにてヘルメットの評価テスト、SHARP規格が取り上げられた当初は、弊社でもテストを行なっておりましたが、あくまでも国の強制規格ではなく、評価テストであるため現在ではテストは行なっておりません。 尚、衝撃吸収テストの中には、前頭部・側頭部・後頭部も行なっております。
あまり知られていませんが、SHOEI では SNELL 規格に適合したヘルメットも過去に販売していますし、加えて SHARP 規格のテストも実施していたようです。
現在はそれら経験に基づいて独自にテストを行っている、ということのようです。
ARAI
質問
HPを拝見させていただいたのですが、R75とSNELL規格に基いて御社製品の安全性を確保しているとお見受けしました。
SNELL規格はM2010, M2015になっても頭頂部に対する衝撃テストしか行われていないと認識しておりますが、御社ではSHARP規格のように前方部(額)、左右の側方部、後頭部への衝撃テストは一切行われていないのでしょうか?
回答
スネル規格の落下テストですが、添付いたしました画像の赤い線より上方であれば、どの部分に落下テストしても基準衝撃値をオーバーしてはならないとの基準がございます。その他、ヘルメットアゴ部分の衝撃テストもございます。
画像もいただきましたが、やはり SNELL 規格に基づいているので側方部の衝撃テストは行っていないようですね。
思ったより広範囲で心配になってしまいます。
総論
ということで自分は SHOEI のヘルメットを買ったんですが、SNELL 規格はバイク乗りなら一定の知名度があり安全性の拠り所になっていた節があります。
ARAI からすればそれが企業としての信用であり、前面に押し出すことでマーケティング効果も大きかったんじゃないでしょうか。
消費者は SNELL 規格の問題も理解した上で自分に合ったヘルメットを選べるようになるといいですね。
現実的な話として SNELL 規格は危険、という証左にはなりせん。どのメーカーもライダーの命を預かっている以上、十分な確信をもって設計・開発しているはずですから、事故においては一定以上の安全性を確保してくれているはずです。
まとめ
- SNELL 神話は捨てよう
- 自分の頭の形にあったヘルメットを買おう
- フルフェイスヘルメットを使おう
- 海外メーカーも安全性たかいよ